テンカラの道具
鬼のカメラ・ビデオ
若い頃から榊原のトレードマークともいえるのが、ビデオ・カメラ。
右手に竿を持ち、左手にビデオカメラ。あまりにも夢中になりすぎてそのまま転倒。
腕の骨を折ってしまったことまである。そfれでも竿は放さなかったというから、
驚くばかりだ。いつもカメラやビデオを持つことで、当時の川の様子や
美しいアマゴ、今の日本では絶滅寸前になってしまったヤマトイワナなどの
姿が記録されている。なぜ執拗に記録し続けたのか。
もちろん、自分のキャスティングの記録が欲しかったこと、
そして、自然の姿を残したかった。
テンカラという釣りが、魚との戦いのなかでどれだけフェアなのか、
自分の目で確かめたかったのだろうか。
榊原はぽつりと、
「魚が好きだからねぇ」そうつぶやいた。