テンカラのテクニック
流れの中でラインを止める
榊原は、釣れそうだと思うポイントに
毛鉤を潜らせると、同じ場所に毛鉤を
潜らせたまま留めることができる。
この魔術師のような釣法は、大勢の
鬼組を魅了してやまない。
「師匠はどうしてあんなことができるの?」
誰にもできない。だって、川は流れているのだから。
留めることができれば、魚にたっぷりと
喰うタイミングを与えられるし、
魚の好奇心をあおることもできる。
活性にもつながるだろう。
榊原にやり方を尋ねると、
流れ、風向きを計算しながら微妙な
操作をしているという。微妙な操作のため
見た目には腕も動いていないように
見える。魔術ではなく技術、
テクニックがこの釣法を支えていた。