3月23日24日　長野県飯田市南信濃村　遠山川

鬼塾開催

4月27日28日　東京トラウトカントリークラブ

鬼塾開催

引き続き募集中です。詳しくは全開のブログを見てください。

今回は堀江さんのこと。

　堀江さんと初めてお会いしたのは、94年頃に名古屋で行われた

テンカラサミットだったと記憶している。とにかく話が面白い方

だった。洒脱なユーモアに溢れていた。

　堀江さんはフライの毛鉤やラインを自分なりにアレンジしてテン

カラに取り入れた、モダンなテンカラの先駆けとなった方。俺も、

もともとはフライをやっていたし、エルクヘアなんかをテンカラで

使っていたので、あぁ同じだなぁ、と思っていた。あれから俺は、俺

なりのテンカラを追求し、あまりフライの道具は使わなくなったが、

同じような道を歩んだのだなぁという気がする。

　面白い釣りが好きな人だと思う。魚を水面にあげてドライで釣る

ことが好きだった。魚が毛鉤をくわえるのを見るのは、面白いもんな。

　堀江さんはそんな遊び心いっぱいの釣りが好きだったし、そういう

遊び心を大切にした人だと思う。

　2度目に会ったのは寒狭川だっただろうか。苦戦していた覚えが

ある。ふっと振り返ると、堀江さんが俺を見ていた。そんなことが

何度かあった。いつも俺を見ていてくれた。

　ホームにも何度か来た。3回かなぁ。「千夜釣行」の頃だったな。

ペペロンチーノスパゲッティを作ってくれたし、コーヒーも作って

くれた。楽しかったよ。

　雑誌の対談にも読んでいただいた、「よく来たねぇ」と喜んで迎え

てくれたのを忘れない。

　一番の思い出は、テレビ東京の「風のフォークロア」。大きな魚を

逃した時の、舌を出して頭をかしげた姿。子どもみたいな、チャーミ

ングな方だった。

　文筆家だったから、とにかく人をよく見ていたし、細かなところ

も観察していた。

　ご病気になられてから、堀江さんの顔も見たかったし、話しもした

かったのでＴＴＣで鬼塾を開催したことがある。とても喜んでくれた。

嬉しそうに、テンカラの話をさせてもらった。忘れられない思い出に

なった。痛烈な批判も平気で話す人だった。ユーモアがあるから嫌味に

ならない。なにもかも小気味よかった。

　昨年のＴＴＣでのイベントが最後になった。「テンカラの人もお洒落

になったねぇ」満足そうに笑っていた。堀江さんが求めていた、モダン

な姿に変わってきたテンカラ人にとても満足そうだった。俺のイタリア

釣行の話も目を細めて聞いてくれた。堀江さん、イタリア料理が好きだ

ったからなぁ。

　昨年のＴＴＣでのまず一声が、「いいの作ったねぇ」だった。俺の

ウェブサイトのことだ。つらい状態の時に原稿をお願いし、それでも

快く引き受けてくれ、悪かったなぁと思っていた俺と鬼嫁は、その言

葉にほっとした。喜んでもらえた。病院に帰る前に、俺のウェブサ

イトでご自分が書かれた部分をプリントアウトしてくれと頼まれた。

大事にお腹に入れて、持って行かれた。何度も読んだのだろうか。

　その時、堀江さんに頼まれたことがある。小さな一歩しか進めない

が、少しずつ堀江さんも望んでくれる方向へ歩いていこうと思う。

　訃報の情報が入った時、たまたま鬼嫁と、ＴＴＣで鬼塾をやろうかと

話をしていた。本当に、偶然にも。だから、関係者が許してくれれば、

ＴＴＣで鬼塾をやろうと思う。

　長い闘病だった。本当にがんばったと思う。ゆっくり休んでもらい

たい。そしてまた、テンカラを楽しんでほしい。親身になって看病し

てくれた周囲の方々にも、心からお悔やみを申し上げたい。ご苦労様

でした、そしてありがとう。

　　　 　　 寒さも和らぎつつある小春日和の日に　　　　　合掌

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　榊原正巳